GUIDE / BATTERY & OVERHAUL

電池交換とオーバーホールの違い|どこまで直る?費用とリスクを専門家が解説

「止まった時計はとりあえず電池交換」「オーバーホールはなんとなく高そうで後回し」――。
そんな方に向けて、電池交換とオーバーホールの役割の違い、費用感、リスクを整理して解説します。

電池交換とオーバーホールの基本的な違い

一言でいうと、電池交換は「燃料の交換」オーバーホールは「エンジンの分解整備」です。

  • 電池交換:クオーツ時計の動力となる電池を新しいものに入れ替える作業
  • オーバーホール:ムーブメントを分解・洗浄し、油の入れ替えや部品交換、精度調整まで行う総合メンテナンス

電池交換だけでは、内部の汚れや油切れ、パーツの摩耗までは解消されません。
「動きはするけれど、内部は疲れている」状態が長く続くと、突然の故障や高額修理につながる可能性があります。

電池交換でできること・できないこと

電池交換でできること

  • 電池切れで止まっていたクオーツ時計を再び動かす
  • 電池残量不足による秒針の飛び(2秒運針など)を解消する
  • 電池の液漏れが起きる前に新しい電池に交換し、トラブルを予防する

電池交換ではできないこと

  • ムーブメント内部にたまった汚れやホコリの除去
  • 潤滑油の劣化・油切れへの対処
  • 摩耗・破損した歯車やパーツの交換
  • 防水性能の本格的なチェック・ガスケット交換

つまり電池交換は、あくまで「動力源だけを入れ替える処置」であり、
時計全体のコンディションを整えるメンテナンスではありません。

オーバーホールで解決できること

オーバーホールではムーブメントを分解し、パーツの洗浄・注油・交換・調整を行うため、
次のようなトラブルにアプローチできます。

  • 油切れによる遅れ・進み・突然の停止
  • 汚れ・ホコリの蓄積による動作不良
  • 長年の使用で摩耗したパーツの交換
  • 防水性能低下に対するガスケット交換などの対処

クオーツ時計でも、中身は歯車と機械部品の集合体です。
電池だけが新しくても、内部が疲れ切っていれば、トラブルを先延ばしにしているだけになってしまいます。

費用の違いと、長期的なコスパ

ざっくりしたイメージは次のようになります。

  • 電池交換:数百円〜数千円程度
  • オーバーホール:ブランドやモデルによるが、数万円〜

一見すると「電池交換だけを繰り返した方が安い」ように感じますが、
長期的なコストで見ると必ずしもそうとは言い切れません。

オーバーホールを適切なタイミングで行っていれば内部の摩耗が抑えられ、
高額な部品交換やムーブメント交換を避けられる可能性が高まります。
一方、「電池が切れたら電池だけ」の運用を続けると、ある日突然、
「内部が錆びていて、ムーブメント一式交換が必要です」といった大きな出費になってしまうこともあります。

電池交換だけで済ませ続けるリスク

内部コンディションの悪化に気づきにくい

電池交換だけでは、ムーブメントを分解して詳しくチェックすることは基本的にありません。
そのため、油切れや摩耗の進行に気づかないまま使い続けてしまうリスクがあります。

電池の液漏れによるムーブメントの腐食

電池が切れたまま長期間放置すると、電池が液漏れを起こし、基板や歯車を腐食させることがあります。
ここまで進行すると、オーバーホールでは対応できず、ムーブメント交換レベルの高額修理になることもあります。

防水性能の低下を見落とす

パッキン(ガスケット)などの防水パーツはゴム製で、時間とともに劣化します。
電池交換だけを続けていると、防水テストやパッキン交換が行われないままになり、
ある日突然、内部に水が入り文字盤が曇るといったトラブルにつながりかねません。

「この症状なら電池交換」「ここまで来たらオーバーホール」目安

あくまで一般的な目安ですが、以下を参考にしてください。

まずは電池交換からで良いケース

  • クオーツ時計が突然止まったが、それまで精度は安定していた
  • 秒針が数秒ずつジャンプする「電池切れ予告」が出ているモデルで、そのサインが出た
  • 前回のオーバーホールからまだそれほど年数が経っていない

オーバーホールを優先して考えたいケース

  • 電池交換をしてもすぐに止まる・動きが不安定
  • 時間の遅れ・進みが目立つようになってきた
  • 購入・前回オーバーホールから5〜7年以上メンテナンスしていない
  • 落下・強い衝撃・水入りなどのトラブルがあった
  • 今後も長く大切に使いたいモデルである

迷ったときの考え方と、次の一歩

電池交換とオーバーホールは「どちらか一方が正解」というものではなく、
役割の違うメンテナンスメニューです。

日常的には電池交換で十分なケースもあれば、
コンディションによっては早めのオーバーホールが結果的にお得になるケースもあります。

「うちの時計はどちらが適切なのか?」「今オーバーホールするべきか?」と迷う場合は、
ブランド名・モデル名・前回メンテナンス時期・症状をまとめて、プロに一度相談してみるのがおすすめです。

CONTACT / ADVICE

電池交換で足りるか、オーバーホールすべきかをプロに相談する

「止まり方」「遅れ・進み」「最後に電池交換した時期」などを書いていただければ、
電池交換とオーバーホールどちらを優先すべきか、目安をお伝えします。


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