TROUBLE GUIDE / DELAY & FAST

腕時計が遅れる・進むときに疑うべきポイント|放置するとどうなる?

「気づいたら毎日5分くらい遅れている」「合わせてもすぐ時間がズレる」――。
腕時計の遅れ・進みは、いきなり“完全に止まる”わけではない分、つい後回しにされがちな症状です。

しかし、精度の乱れは、内部の不調やメンテナンス不足のサインであることも多く、
放置してしまうと、オーバーホールや部品交換のコストが大きく膨らんでしまうこともあります。

このページでは、腕時計が遅れる・進むときに考えられる主な原因と、
まず自分で確認してよいこと・やってはいけないこと・相談すべきタイミングを、種類別に整理して解説します。

この記事で分かること

  • 腕時計が遅れる・進むときに疑うべき主な原因と、その見分け方
  • 機械式・クオーツ別の「自分で確認してよいポイント/NGな調整」
  • 精度の乱れを放置した場合に起こりうるリスクと、適切なメンテナンス時期
  • 今すぐ修理・オーバーホール相談した方が良いケースの具体例
  • 遅れ・進みトラブルに関するよくある質問(FAQ)

1. 腕時計の遅れ・進みは「不調のサイン」になりうる

腕時計の精度は、種類・グレード・使用環境によって許容範囲が違うものの、
大きく外れてくると「どこかに無理がかかっているサイン」である可能性が高くなります。

たとえば、

  • 機械式:日差 ±10〜20秒前後は「許容範囲」とされることがある
  • 高精度の機械式(クロノメーター規格など):日差 −4〜+6秒程度
  • クオーツ:月差 ±15秒前後が目安(モデルにより大きく異なる)

こうした目安を大きく超える遅れ・進みが続く場合、

  • 内部の油切れ・汚れの蓄積
  • 部品の摩耗・破損
  • 磁気の影響
  • 温度変化への過度なさらされ方

など、時計が本来の設計条件から外れた状態で頑張って動いている可能性があります。
つまり、遅れ・進みは「まだ動いているから大丈夫」ではなく、メンテナンスを検討すべき黄色信号と捉えるのが賢明です。

2. まず自分で確認したい3つのポイント

いきなり「壊れた」と決めつけるのではなく、まずは次の3点を落ち着いて確認してみましょう。

2-1. 「どのくらい」遅れている/進んでいるか

なんとなく「遅れている気がする」だけでは判断が難しいため、
一度、スマホや電波時計などの正確な時刻と見比べて、実際のズレ幅を測ってみてください。

目安としては、

  • 機械式:日差 ±20〜30秒を超えると気にしたいライン
  • クオーツ:月差で1分以上ズレるようなら要注意

「ズレ幅」が分かると、技術者が原因を推測しやすくなり、相談もスムーズになります。

2-2. いつから・どんなタイミングでズレ始めたか

次に、「いつ頃から」「何かきっかけがあったか」を思い出してみましょう。

  • 最近オフィスのPC周りに時計を置くようになった
  • 電車の改札タッチ・スマホとの重ね持ちが増えた
  • 落とした・ぶつけたなどの衝撃があった
  • 急に暑い・寒い環境で使うことが増えた

こうした「環境の変化」は、磁気・温度・衝撃といった外的要因を疑うヒントになります。

2-3. ここ数年のメンテナンス履歴

最後に、ここ数年のメンテナンス履歴を振り返ります。

  • 機械式:オーバーホール実施から何年経っているか
  • クオーツ:電池交換だけを何年も繰り返していないか
  • 購入から一度も内部メンテナンスをしていないか

「購入から5〜10年、一度もオーバーホールをしていない」ような場合、
遅れ・進みは“経年劣化によるメンテナンスサイン”と考えるのが自然です。

3. 遅れ・進みの主な原因|機械式・クオーツの違い

腕時計が遅れる・進む背景には、時計の種類ごとに違うメカニズムがあります。
ここでは、大きく機械式クオーツに分けて代表的な原因を整理します。

3-1. 機械式時計の遅れ・進みの原因

機械式は、ゼンマイと歯車・テンプ(振り子のような部品)の動きで時間を刻みます。
精度に影響しやすい要因としては、

  • 内部の油切れ・汚れ(摩擦増加)
  • ゼンマイのトルクの不均一
  • 衝撃による調速機構のズレ
  • 磁気の影響によるテンプの動きの乱れ

特に多いのが、オーバーホールを長年していないことによる油切れです。
部品同士の摩擦が増えることで、遅れが出たり、姿勢によって進んだり止まったりと不安定になっていきます。

3-2. クオーツ時計の遅れ・進みの原因

クオーツは、水晶振動子が刻む一定のリズムを電気的にカウントして動きます。
精度に影響する要因としては、

  • 電池の電圧低下や接触不良
  • 回路の不具合・経年劣化
  • 水入りやサビによる抵抗増加
  • 高温・低温環境による水晶の周波数変化

特に、電池交換だけを何年も繰り返し、内部メンテナンスをしていない高級クオーツでは、
目に見えないサビや汚れが蓄積し、精度が乱れ始めることがあります。

3-3. 共通する外的要因(磁気・温度・衝撃)

機械式・クオーツ共通で、近年特に注意したいのが磁気の影響です。

  • スマホやタブレットのマグネットケース
  • パソコン・スピーカー周辺
  • バッグや財布のマグネット留め具
  • IHクッキングヒーターまわり

こうしたものに長時間近づけることで、内部部品が磁化され、精度が乱れることがあります。
その他、急激な温度変化や強い衝撃も、精度不良の原因になり得ます。

4. 環境要因:磁気・温度・使い方で精度はここまで変わる

「特に何もしていないつもりでも、日常生活の中には時計にとって過酷な環境」が意外と多く存在します。

4-1. 磁気の影響

磁気の影響を受けると、

  • 急に大きく遅れ・進みが出る
  • 特定の体勢でだけ異常な精度になる
  • しばらくするとマシになるが、以前ほど安定しなくなる

といった症状が現れることがあります。
強い磁気を浴び続けると、内部部品の磁化が残り、オーバーホール時に脱磁処理が必要になるケースもあります。

4-2. 温度変化・湿気

腕時計は、極端な高温・低温に弱い精密機器です。
サウナ・真夏の車内・真冬の屋外など、急激な温度変化や極端な環境は、精度に影響を及ぼします。

また、防水性能が落ちた時計が湿気の多い環境に晒されると、内部に結露が発生し、サビや抵抗増加から精度不良につながることも。

4-3. 使い方のクセ

就寝中にいつも同じ向きで置く、ほとんど腕を動かさない生活スタイルなど、
使い方のクセによっても、わずかながら日々のズレ方が変わってきます。

機械式の場合、あえて
「少し進み気味なら特定の姿勢で寝かせる」などの微調整テクニックもありますが、
これはあくまで正常範囲内の微調整であり、大きなズレを補正するものではありません。

5. 遅れ・進みを放置するとどうなる?リスクと影響

「時間を合わせれば使えるし…」と、遅れ・進みをそのままにしておくと、次のようなリスクがあります。

5-1. 日常生活への影響

まず当然ながら、約束の時間・電車・会議など、日常生活の信頼性に直結します。
ビジネスシーンでの時間のズレは、相手からの印象にも関わる部分です。

5-2. 内部ダメージの進行

精度不良が内部の摩耗・油切れ・サビなどに起因している場合、
その状態で動かし続けるほど、部品の消耗が進んでいきます。

本来ならオーバーホールだけで済んだものが、部品交換を伴う高額修理になってしまうことも珍しくありません。

5-3. 将来の価値への影響

高級時計や人気モデルの場合、「きちんとメンテナンスされてきたかどうか」は、将来の下取り・売却価値にも影響します。
メーカー・専門工房のオーバーホール履歴は、時計の「健康診断記録」のようなもの。
精度不良を放置して内部ダメージが進んでしまうと、その価値を大きく損なうこともあります。

6. 今すぐ相談すべき「危険な精度の乱れ」チェックリスト

ここからは、「どの程度のズレなら様子見で良いのか」「どこからが要相談なのか」を、もう少し具体的に見ていきます。

6-1. 早めに相談したいライン

  • 機械式で、日差 ±30秒〜1分以上が続く
  • クオーツで、月差1〜2分以上のズレが出ている
  • ここ1〜2年で急に精度が悪化した

このあたりのラインは、そのまま放置せず、メンテナンスのタイミングを検討したいゾーンです。

6-2. できるだけ早く相談したい危険ライン

  • 機械式で、日差が数分単位でズレることがある
  • クオーツで、数日〜数週間で数分〜数十分単位のズレ
  • 磁気に強く晒した記憶があり、その後から精度が大きく乱れている
  • 水入り・曇り・サビの疑いがあり、精度もおかしい

このレベルになると、内部で何らかのトラブルが起きている可能性が高い状態です。
自己流での調整は避け、早めに専門家に診断を依頼することをおすすめします。

7. ケース別セルフ診断|あなたの時計はどのパターン?

ここまでの内容を踏まえて、代表的なケースごとに「考えられる原因」と「次の一手」を整理してみます。

ケースA:機械式で日差+20秒前後、購入から3年程度

新しめの機械式で、日差+10〜20秒程度なら、許容範囲内の個体差という可能性もあります。
日々の姿勢や置き方で微調整できる場合もあるため、大きな不調と決めつける必要はありません。

ケースB:機械式で日差1分以上、オーバーホール歴なしで5年以上

これはオーバーホール時期が来ているサインと考えて良いケースです。
オーバーホールの基本もあわせて確認しつつ、メンテナンス計画を立てましょう。

ケースC:クオーツで月差数分、電池交換から数年経過

電池の電圧低下・接触不良・回路の不具合などが考えられます。
シンプルな電池切れであれば良いのですが、高級クオーツの場合は内部点検もセットで検討したいところです。

ケースD:磁気の強い環境に置いてから急に精度が乱れた

典型的な磁気帯びの疑いです。
現状の精度・使用状況をメモして、脱磁処理や点検を依頼することをおすすめします。

8. 遅れ・進みに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 機械式時計はある程度ズレるものと聞きました。どこまでなら気にしなくていいですか?

日差±10〜20秒程度であれば、許容範囲と考えるブランド・モデルも多く存在します。
ただし、以前より急に悪化した日差1分以上が続くなどの場合は、点検を検討して良いタイミングです。

Q2. 自分で歩度調整ネジをいじってもいいですか?

おすすめできません。
調整幅を超えていじってしまうと、かえって悪化したり、元に戻すために余計な手間と費用が発生することもあります。
精度調整は、オーバーホールや点検の工程の中でプロに任せるのが安心です。

Q3. クオーツ時計の遅れ・進みは、電池交換だけで直りますか?

電池の電圧低下が主原因であれば改善することもありますが、
回路の不具合や水入り・サビなどがある場合は、電池交換だけでは根本解決になりません。
高級クオーツであれば、数年に一度は内部点検もセットで検討するのがおすすめです。

Q4. 磁気帯びは自然に戻りますか?

磁気には弱まるものもありますが、磁化された部品から完全に影響が消えるとは限りません。
専用の脱磁器を用いて処置した方が確実で、オーバーホール時にあわせて対応してもらうことも多いです。

Q5. 遅れ・進みが気になるとき、正規と民間どちらに相談すべきですか?

正規サービスはメーカー基準での検査・調整・部品供給が受けられ、記録も残ります。
一方、信頼できる民間修理では、費用・納期・柔軟な相談のしやすさなどのメリットがあります。
迷う場合は、まずは症状ベースで無料相談を行い、
状態やご予算に応じてベストな選択肢を一緒に検討していくのがおすすめです。

10. まとめ|「どのくらいズレているか」をベースに相談を

腕時計の遅れ・進みは、内部のコンディションや使用環境からの“メッセージ”でもあります。
とくに、以前より急に精度が悪化したり、日差・月差が大きくなっている場合は、
「そのうち見てもらおう」と先延ばしにせず、早めに現状を整理しておくと安心です。

ご自身でチェックしてみても判断に迷う場合は、
「ズレの幅」「ここ数年のメンテナンス履歴」「思い当たるきっかけ」などの情報をまとめて、
一度プロの視点での診断を受けてみることをおすすめします。

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